特別養護老人ホーム 費用
以前の記事
特養(特別養護老人ホーム)と老健(介護老人保険施設)の違いを理解してますか?
は意外と反響があり驚いています。
少しでも介護に苦しんでいる方のご参考になればうれしいです。

特別養護老人ホームは費用が安いと勘違いしていませんか?

特別養護老人ホーム 安い
自分の親が高齢になってきて
認知症や身体の障害もあり
もはや家族での在宅介護も難しくなってきた。

いよいよそんな状況になれば
「親を老人ホームに入れるかどうか?」

そんな苦渋の決断を迫られるときが来ます。

そんな時、真っ先に考えるのは、
「老人ホームっていくらかかるの?」
という疑問だと思います。

しかし、現実的な問題として
毎月の負担額も考えなくてはいけません。

テレビで紹介されるような豪華な老人ホームはとても我が家では無理だ!

テレビ 特集番組 老人ホーム
テレビではすごい豪華な老人ホームもよく紹介されています。
でも、入居一時金が数百万円から数千万?なかには1億以上の老人ホームも・・・?

「そんなお金、逆立ちしたってでてこない!」
そんなご家庭も多いと思います。

「そんな贅沢をいわなくても公的な老人ホームがあるじゃないか?
 えっ~と、特別なんとか老人ホーム?
 そうだ、特別養護老人ホームだ! 略して【特養】って呼んでいたよな!
 そこなら、入居一時金もいらないし、毎月の負担も少ないらしいぞ!」

 
確かに有料老人ホームなどでは必要な入居一時金(数百万円~数千万円)などは、
特別養護老人ホーム(特養)には必要ありません。

ですから、特別養護老人ホーム(特養)は、比較的安く低価格で利用できるというイメージをお持ちかもわかりません。

しかし、最近では利用者のプライバシーを重視した造り(個室タイプ)なども増えてきました。
そのため、利用料金も多額になるところも現れてきました。

特養の費用は本人や扶養義務のある家族の収入や介護度などの状況で変わる

特養 費用
特別養護老人ホームの費用は、
・家賃
・管理費
・食費
・水道光熱費
・日常生活にかかる雑費
が含まれています。

そして、この月額利用料は
世帯収入(本人や扶養義務のある家族)
部屋のタイプ(個室?相部屋などの大部屋?)
でかなり変わってくるので、予めよく理解しておいてくださいね。

ひとつのお部屋で多人数が生活する相部屋タイプを多床型と呼ばれ
もちろん個室よりは安くなります。
しかし、他の入居者が認知症などを発症している方もいるかもわかりません。
徘徊・夜中の大声の叫び・盗難・・・
そんなトラブルも時々 耳に入ります。
そのため快適な生活を24時間過ごせるか?といえば
正直 断言できないですよね。

特別養護老人ホームの費用の目安とは

利用者は各施設との契約になり、また地域によっても地域加算。・各種介護サービスの料金も変わります。

ひとつの目安として、あくまで参考程度でしてください。

月額利用料の計算は30日で計算

従来型多床室(相部屋)

【賃料】9600円(320円/日)
【食費】41400円(1380円/日)
これに介護保険1割負担額が加算されます。

要介護度 介護保険1割負担額 月額利用料合計
要介護1 18900円(630円/日) 69900円
要介護2 20970円(699円/日) 71970円
要介護3 23100円(770円/日) 74100円
要介護4 25170円(839円/日) 76170円
要介護5 27210円(907円/日) 78210円

従来型個室

【賃料】34500円(1150円/日)
【食費】41400円(1380円/日)
これに介護保険1割負担額が加算されます。

要介護度 介護保険1割負担額 月額利用料合計
要介護1 17310円(577円/日) 93210円
要介護2 19410円(647円/日) 95310円
要介護3 21570円(719円/日) 97470円
要介護4 23670円(789円/日) 99570円
要介護5 25470円(858円/日) 101640円

ユニット型準個室

【賃料】49200円(320円/日)
【食費】41400円(1380円/日)
これに介護保険1割負担額が加算されます。

要介護度 介護保険1割負担額 月額利用料合計
要介護1 19770円(659円/日) 110370円
要介護2 21870円(729円/日) 112470円
要介護3 24060円(802円/日) 114660円
要介護4 26160円(872円/日) 116760円
要介護5 28320円(941円/日) 116760円

新型ユニット個室

【賃料】59100円(320円/日)
【食費】41400円(1380円/日)
これに介護保険1割負担額が加算されます。

要介護度 介護保険1割負担額 月額利用料合計
要介護1 19770円(659円/日) 120270円
要介護2 21870円(729円/日) 122370円
要介護3 24050円(802円/日) 124560円
要介護4 26160円(872円/日) 126660円
要介護5 28320円(941円/日) 128730円




いかがですか?

毎月の利用料は、介護度により変わりますが
結構な金額です。

これを親の毎月の年金だけで賄うのには少し無理があるかもわかりません。

また、親が年金に加入していなかったら
毎月、扶養する家族が負担することになります。
親の老人ホームで悩む子供
月額利用料約7万円~約13万円
「特別養護老人ホームって低額で利用できると思っていたけど、意外と費用がかかるなぁ・・・?」
とお感じになったのではないでしょうか?

特養を利用したいならまずは介護保険負担限度額認定を

平成17年より、特別養護老人ホーム(特養)などの施設を利用した場合の食費や部屋代が利用者負担となりました。

この食費や部屋代は、利用者と特別養護老人ホーム(特養)などの施設との契約内容により決定されます。

しかし、この食費や部屋代などの負担は決して軽いものではなく
家族の方にとって、かなり負担が重くのしかかり、苦しくなることも多いのです。

そこで、収入の低い方には食費や部屋代が軽減される手続きがあります。
必ずチェックしてしておいてください。

これを介護保険負担限度額認定と呼ばれています。

また、軽減はされなくても
高齢者夫婦世帯など、夫婦のどちらかが特別養護老人ホーム(特養)などの施設に入所して食費や部屋代を負担した場合の特例措置もありますので
必ずご自分のケースは確認しておいてくださいね。

所得に応じて決まる特別養護老人ホーム(特養)などの施設の負担額の上限額

特別養護老人ホーム(特養)などの施設における部屋代や食費の負担上限額(負担限度額)が
収入に応じて変わります。

ただし、支払いの際には「負担限度額認定証」の提示が必ず必要になります。

ですから、「負担限度額認定証」を得るために市役所などに申請しなければいけません。

【第1段階】
市民税非課税世帯で老齢福祉年金を受給されている方
生活保護を受給されている方

負担限度額(1日あたり)

食費 300円

部屋代

多床室(いわゆる相部屋です) 0円
従来型個室(特別養護老人ホームなど) 320円
従来型個室(老健・療養など) 490円
ユニット型準個室 490円
ユニット型個室 820円

【第2段階】
市民税非課税世帯で合計所得金額と公的年金等収入額の合計が年間80万円以下の方

負担限度額(1日あたり)

食費 390円

部屋代

多床室(いわゆる相部屋です) 320円
従来型個室(特別養護老人ホームなど) 420円
従来型個室(老健・療養など) 490円
ユニット型準個室 490円
ユニット型個室 820円

【第3段階】
市民税非課税世帯で第2段階以外の方
市民税課税層における特例減額措置が適用となる方

負担限度額(1日あたり)

食費 650円

部屋代

多床室(いわゆる相部屋です) 320円
従来型個室(特別養護老人ホームなど) 820円
従来型個室(老健・療養など) 1310円
ユニット型準個室 1310円
ユニット型個室 1310円

【第4段階】
市民税課税世帯の方

第4段階に該当する方は負担限度額が設けられていません。
各施設との契約により、食費や部屋代が決定されます。

ただし、特例減額措置もありますので必ずそのことも調べておいて下さい!。

【利用者負担第4段階の方の特例】
利用者負担第4段階の方は、食費や部屋代の負担軽減はありません。
ただし、高齢夫婦世帯など、夫婦どちらかの方が施設に入所して食費や部屋代を負担した結果
在宅で生活している配偶者が生活困難にならないようにするため、一定の要件を満たす方には
利用者負担区分を第3段階相当にする特例措置があります。

ただし、手続きが必要ですので、お住まいの区役所や市役所の保険年金課など
担当部署に必ず相談しておいてください。



<適用対象者の要件>
1、世帯の構成員が二人以上であること。
2、世帯員が、介護保険施設に入り、利用者負担第4段階の部屋代、食費を負担していること。
3、世帯の年間収入から、施設の自己負担(1割負担、部屋代、食費)を除いた額が
  80万円以下であること。
4、世帯の預貯金等の額が450万円以下であること。
  (預貯金のほか、有価証券、債権等も含む)
5、日常生活に供する資産以外に活用できる資産が無いこと。
6、介護保険料を滞納していないこと。


<特例減額措置の内容>
上記の要件3、に相当しなくなるまで、部屋代又は食費若しくはその両方について
利用者負担第3段階の負担限度額を適用する。

ご参考までに私の地元である大阪市の介護保険負担限度額認定書の記入例も公開しておきますね。

入所したくても入所できない?入所待ち待機者 各特養施設に数百人待ち?

ここから、現実的なこともお話しておきますね。

現実問題として

特別養護老人ホームには入りたくても入れないのです!

特別養護老人ホームに入りたい人の数に比べ、
その数が圧倒的に不足しています。

また国の財政上の問題もあり、入所する人を限定してきているのです。
※参考記事を末尾に記載していますのでご参考にしてください
 介護保険改正案が衆議院で可決 どうなる介護保険?

ですから、
要介護の低い人は入所しにくいです。
家族・親族で面倒をみることのできる人は入所しにくいです。

予め、そのことをよく理解してから特養への入所申し込みを考えてくださいね。



特別養護老人ホームへの入所申し込みは各施設へ直接家族が申し込みます

まず、特別養護老人ホーム(特養)の施設を探さなければいけません。

これにはケアマネージャーに相談するほかに、ご家族自身でも探してみることをお勧めします。

しかし、ここで家族や親族の住んでいるところの近所や気軽に見舞いに行けるところ限定で探しているとかなり困難を極めます。
なぜならそれほど各施設に空きはありません。
特に人口密度の高い都心部ではその傾向は顕著です。

各特養には、入所待ち待機者数百人というところも珍しくないです。

平気で特養入所まで数年待ち?はザラです。

そんなに待っていれば、介護している家族のほうが参ってしまう?
そんなこともあり、私は広く探してみることをお勧めしています。

参考までに検索サイトも紹介しておきます。
http://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/kaigo/service/

こちらから広いエリアででも探してみてください。

できれば複数の施設に同時に申し込んでおくのもありかも?

各特別養護老人ホームごとに受け入れ体制には事情が異なります。

もちろん原則的に要介護度の高い人ほど入所の優先順番は優先されます。

要介護度5であれば、約半年程度で面接の連絡があり、
1年程度で入所可能とも聞いています。

しかし、入所者全員が要介護5に人たちばかりであれば、
職員の手が回らない?
だから要介護度の低い人も受け入れる場合がある?
とも聞いています。

生活状況も、
・単身独居の方
・高齢者世帯
が優先されるとも聞いています。

介護付き老人ホームで暮らしている人より
在宅で介護を受けている人のほうが優先されるとも聞いています。

認知症で問題行動を起こすような人は敬遠されると聞いています。

相部屋だと男女の比率もあります。

胃ろう(胃瘻:食事を直接胃に送り込む)の方は人数が各施設ごとに定まられていることもあります。

複数の特別養護老人ホームの施設へ申し込んでおけば
タイミングがよければ、
運が良ければ
数年待ちとも言われる特別養護老人ホームに早めに入れることもあるのです。


特別養護老人ホームへの入所は誰が決める?

これは各特養が行う入所の判定会議にかけて、受け入れを決定します。

施設の空きの状況
介護スタッフの状況
受け入れ者の状態
などなど
さまざまな要件を総合的に判断して入所を受け入れます。

通常年2回程度(春と秋、3月と9月)に開催されるようです。

そこで入所が決定されます。


入所希望を申し込んだらそれで終わり?ではありません

このように入所を決定するのは、入所の判定会議で決まります。

判定をするのは人間です。

そこで、申し込みが終わっているからと放置していると、
なかなか順番が回ってこないかもわかりません。

ですから、常にこちらの状況を報告相談しておくのもよい方法とも言われています。

生活状況
要介護度の変化
などこまめに相談する機会をもつことが大事です。

最後に私からのお願い

介護していた家族から遠く離れた特別養護老人ホームに自分の親を入所させることは子供にはとても辛い決断です。

今までの介護はさぞかし大変だったでしょう。
私も自分の経験から本当にそう思います。

正直 逃げ出したい?
そんな気持ちもありました。

だから、もし遠くの老人ホームしか入所できなかった場合、なるべく面会の回数を増やしておいてほしいのです。
電車や車で数時間も離れている老人ホームへの面会はさぞ大変だと思います。

しかし、そこにおられる親御さんになってみれば、家族の面会ほど嬉しいものはないと思います。

面会に来てくれた家族との散歩や外出は、日ごろ閉ざされた世界で暮らす親御さんにはかけがえのない癒しとなると思います。
※私の母は、車椅子で近所の公園に行くだけでも嬉しそうでした。

入所後 しばらくはまめに面会していても、だんだんその面会も少なくなっていく・・・・

そんなご家族をたくさん見てきました。

ですから、この記事を書くのにも少しためらいがありました。

できることなら、家族で協力し合い、在宅での介護が望ましい・・・
今でも私はそう考えています。
でも、やむおえない事情を抱えているご家族もたくさんいらっしゃいます。
そんな介護の共倒れを避ける意味で、老人ホームについての記事を書きました。